歯周外科とは？

歯周外科治療とは歯周病が進行してしまい、基本的な歯周治療のみでは症状が改善しない場合に行われる外科処置のことです。

歯周外科治療の種類

歯周外科には様々な種類があり、それぞれ起きている症状や箇所によって処置が異なります。当院では豊富な経験により幅広い外科処置が可能です。

CTG(結合組織移植術)

CTGは「Connective Tissue Graft」の略で、日本語では結合組織移植術と呼ばれます。これは、歯ぐきが薄くなっていたり、下がってしまった部分を補強・修復するために行う歯周形成外科の一種です。

主に上あごの内側（口蓋＝こうがい）から「結合組織」と呼ばれる歯ぐきの内部の層だけを切り取り、歯ぐきが不足している部分に移植します。この「結合組織」は、表面の皮膚ではなく内部の組織を利用するため、見た目にはほとんど傷が残らず、治癒も比較的早いのが特徴です。移植した結合組織が周囲の歯ぐきとしっかりなじむことで、歯ぐきの厚みが増し、将来的な歯ぐきの下がり（歯肉退縮）を防ぐ効果も期待できます。

FGG（遊離歯肉移植術）

FGGは「Free Gingival Graft（フリー・ジンジバル・グラフト）」の略で、日本語では遊離歯肉移植術と呼ばれます。これは、歯ぐき（歯肉）の幅が足りない部分に対して行う、歯周形成外科の一種です。

この術式では、患者様自身の口蓋（上あごの内側）から、歯ぐきの表面にある「上皮」とその下の一部の結合組織を一緒に切り取り、必要な部位に移植します。移植された組織は、歯ぐきの足りない場所に定着し、角化歯肉（かくかしにく）と呼ばれる丈夫な歯ぐきが新たに形成されます。

フラップ手術

歯石が歯の根っこの部分に付着してしまっている場合、歯茎を開かないと除去することが出来ません。フラップ手術は麻酔をして歯ぐきを切開します。切開して歯石等が良く見える状態で除去し歯ぐきを閉じる手術のことです。

歯周組織再生療法

歯周病が進行していくと歯槽骨や歯根膜などが失われていきます。失われた部分を再生するのが「歯周組織再生療法」といいます。再生させるために使用する薬剤が「リグロス」と「エムドゲイン」の二つを当院では使用します。

リグロス

リグロスは歯周病の進行によって失われた歯周組織の再生が期待できる薬剤です。リグロスは世界初の歯周組織再生医薬品で、大腸菌を用いて製造した「bFGF」というたんぱく質を有効成分とした歯周組織再生剤です。bFGFは筋肉や骨などの細胞の増殖や分化を促進し成長させる働きがあるため、失われた歯周組織の再生に効果があると期待されています。

エムドゲイン

エムドゲインは「エナメルマトリックス」と呼ばれるタンパク質の一種で、豚の歯胚（しはい）組織から抽出されています。このタンパク質は、歯が発生する際の自然な環境を再現し、歯周組織の再生を促進する働きがあります。

なお、エムドゲインを用いた治療は保険適用外の自由診療となりますが、世界中で20年以上にわたり使用されており、その効果と安全性は豊富な実績により確認されています。

歯周外科が適応できないケース

• 全身疾患をお持ちの方
  
  脳梗塞や心筋梗塞、コントロールが難しい高血圧など、外科的処置にリスクがある持病をお持ちの方は、治療が難しい場合があります。

• 妊娠中の方
  
  妊娠中はホルモンバランスや全身状態の変化があるため、基本的にこの治療は控えることが推奨されます。

• 広範囲にわたる骨欠損がある方（多数の歯に及ぶ場合）
  
  適切なブラッシングができないと、治療後すぐに悪化・再発するリスクが高くなるため、治療の適応にならないことがあります。

• 喫煙されている方
  
  喫煙は血流を悪化させ、歯周組織の治癒を妨げるため、効果が十分に得られない可能性があります。

• 歯周外科治療の費用

CTG(結合組織移植術)

FGG（遊離歯肉移植術）